GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

読書感想文 天才の証明(オリエンタルラジオ 中田敦彦)

https://www.amazon.co.jp/天才の証明-中田-敦彦/dp/4822259218

 

オリエンタルラジオの、あっちゃん、こと中田敦彦の自著になります。

最近、改めて下のパーフェクトヒューマンの動画が衝撃で、改めて、あっちゃんに興味を持ったので読んでみました。

 

〇以下、自分のFace bookより引用です。

最近、好きでよく聞いています。この展開が、痛快すぎますね。漫才を期待していた観客が急に裏切られ、全く別のジャンルに変化し、しかし笑いとして成立している。最高だと思います。自分の殻に閉じこもることなく、チャレンジを恐れない精神を見習いたいと思います。

 

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後で、知ったのですが全て、あっちゃんの計算だったんですね。

上記のテレビ番組でも、パーフェクトヒューマンが出来なければ絶対に出演しないと言っていたようです。。

あらかじめ、パーフェクトヒューマンをユーチューブに挙げていたのも。

一次的に漫才もしていたけど、自分たちの強みは武勇伝など音楽ネタであることをユーチューブの再生回数から分析して。

さらに、今までのお笑いに全くないエンターテイナー的な要素とダンスも取り入れて、全く真似が出来ないポジションを確立する。

 

これは、完全にブルーオーシャン戦略ですよね。

あえて、武勇伝をやった後に上記のような展開に持ってくことでの意外性で話題にし、さらにユーチューブで口コミをさらに広げる。

 

天才の証明に書かれていることは非常にシンプルです。

好きなこと、得意なことを徹底的に伸ばして、自分独自のポジションを確立すること。

優れようとするのではなく、自分の個性を生かして徹底的に異なることで、模倣が困難な状況を作り出し、トップを目指す。

これって、経営分析のSWOTフレームワークに完全に通じると思うんですよね。

強みを生かして、弱みを減らすということに他なりませんからね。

 

 

笑いという概念を覆すという意味では、サーカスの概念を覆したシルク・ドゥ・ソレイユに近いのかもしれません。

シルク・ドゥ・ソレイユブルーオーシャン戦略で真っ先に取り上げられていましたね。

思い付きではなく分析に分析を重ねて、計算したうえで行動を起こす。見習いたいです。

以下の岡村隆史のコメントが全てを物語っていると思います。

「新しい笑いの時代に突入したのかもしれない。あんなん、本当はやりたいのに、俺。言いたいのにパーフェクトヒューマン。。よう、作らんは。あんなネタ。」

 

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ますます、あっちゃんが好きになった。そんな本でした。

自分のキャリアの目指すべき方向性についても同様だと思いました。

自分の好きで得意なところを伸ばして、模倣が困難な特異なポジションを目指そうと思います。

 

 

あらためてGIMについて考えてみる。

再度、GIMについて考えてみます。

私自身は主に内科医として卒後5年目までキャリアを歩んできました。

卒後6年目から、今の小規模病院に来てから、総合診療・家庭医療を少し勉強してきました。

とはいえ、家庭医療専門医を持ちつつ、さらに病院で内科をベースとした病院総合診療をされている先生の診療内容に触れたときに、自分が総合診療医であるということが少しはばかられる気がします。

 

かといって、ただの内科医であるというだけが自分のアイデンティティではありません。。

そう考えたときに、改めてGIMという言葉の響きが自分には大切に思いました。

私は京都のGIMで有名なグループの系列病院で3年間後期研修をしてきました。

家庭医療的な研修は、少なくとも系統的にはありませんでしたが、しかし尊敬するロールモデルの元で内科を中心として横断的な研修が出来たことはとても幸運なことでした。

その選択をしたことは全く後悔はありません。

総合診療専門医がはじまりましたが、総合診療専門医にとっても幅広く深く内科を診る、GIM的な能力は必須だと思います。

つまり家庭医療学とGIMは両輪であり、研修という意味では両方を提供する必要があるのではと僕は思います。

その中でどちら寄りになるのかは、当人の個性だと思います。

逆に言えば、GIMがただの内科ではなくGIMであるためには、家庭医療学を学ぶことが必要です。

 

GIMをやっていると、社会背景や全人的に診ることを自分たちでも出来るし、家庭医療学を学ばなくても良いんじゃないかと思うこともあります。

しかし、家庭医療の考え方を学ぶと、Biomedicalだけでは解決できない複雑な問題をより遣り甲斐をもって、かつ大切であると認識して診ることが可能になります

全人的に診るということに関して、ポートフォリオやフィードバックなど系統的な研修を受けた総合診療・家庭医が一歩先を行っているので、GIMはそこから学ぶべきです。

とはいえ、GIMと総合診療・家庭医は患者を全人的に診ようとするというところに関して共通項を持っていて、つまり同志だと僕は信じています。

 

 

GIMは自分たちがGIMであるためには、ただ内科の知識を深めるだけでは足りず、総合診療・家庭医から学ぶべきであると、意識することが必要だと思います。

GIMが元来の特徴である内科診断学や広く深い内科マネージメントに加え、総合診療・家庭医から全人的に診るということを取り入れることができれば、真に時代に必要とされる存在になるはずだと僕は信じています。

 

 

 

 

 

読書感想文 マネージャーの教科書

 

マネージャーの教科書を読みました。

病院総合医やホスピタリストも病院の中で立場が上がれば、マネージャー的な仕事が必要になることも考えると、勉強になりました。

新人マネージャーがつまずく理由として、権威権力で統制づくりを行い円滑に業務を行うことがマネージャーの仕事だという幻想をいだくことが問題だと指摘されています。

実際は、相互依存で部下のやる気を引き出し、チームの調和を行い、業務改善をおこなうとあります。

またプレイヤーとして巧くいったひとが必ずしもマネージャーとして巧くいくわけではなく、別の能力が必要になるともあります。

つまり、部下に権限移譲をする、部分に拘泥せず全体を見るという視点が必要になります。

さらにIQだけではなく心の知能指数であるEQが大切であると示されています。

EQは自己認識、自己統制、モチベーション、共感、ソーシャルスキルから構成されておりこれらは、時間がかかり困難ではあるものの高めることが出来ます。

また自分らしさが仇になるときもあるので、いろんな人のロールモデルを参考にしながら、いろんなスタイルを試す遊び心も必要のようです。

さらに自分自身と上司を理解し、上司をマネージメントすることが大切と書いていました。

上司のマネージメントは確かに中間管理職になるととても大切な要素だなと感じています。

また人脈は個人的にも大切だと考えていましたが、本書では人脈を仕事上のネットワーク、個人的なネットワーク、戦略的ネットワークに分けて記載されておりなるほどという印象でした。

特に戦略的なネットワークを作ることの大切さが実感できました。

最後に、部門責任者が事業リーダーになるときの心得が書いていました。病院で言えば、病院長のようなものでしょうか?

その心得は、

①ジェネラリストである

②統合者である

③戦略家である

④設計者である

⑤課題設定者である

⑥外交官である

⑦主役である

という7つが必要であるとされています。

確かに病院であっても自科以外の科のことも考える視点が必要ということになるのでしょうか。。

このような医学以外の本を読むと刺激になって、面白いですね。

 

読書感想文 あめいろぐホスピタリスト

https://www.amazon.co.jp/あめいろぐホスピタリスト-あめいろぐ・シリーズ-石山-貴章/dp/4621302787

 

献本御礼

 

アメリカでホスピタリストとして働いた経験がある日本人医師による著書であり、楽しみにしながら読ませていただきました。

結論から言うと、素晴らしい本です。

日本のこれからの、ホスピタリスト・病院総合診療の指針になると言っても過言ではないと思います。

最初にホスピタリストが必要は理由は、high value careと2025年問題であると強調されていますが、その通りだと思います。

日本には専門医が多すぎ、満遍なく内科を診れる医師つまりホスピタリストの需要が高まると筆者は断言してます。

これもその通りでさらに踏み込んで森川の私見を述べれば、専門医は専門医にしか出来ない手技や技能に集中するほうがおそらく病院経営上効率が良いと考えます。

例えば、循環器内科医は心臓カテーテルやアブレーション、重症心不全のコンサルテーション業務、消化器内科医はESD、ERCPなどを含む内視鏡、呼吸器内科医は肺癌の化学療法や気管支鏡など。。

それらは専門医にしか出来ない手技や技能である一方、通常の内科病棟管理に関しては非専門医であるホスピタリストに任せるほうが効率的だと思います。

特に、働き方改革で医師の時間が有限であり貴重になる一方であることを考えると、これらの専門医が片手間に病棟業務を行うのは専門医の有効な活用方法とは言えません。

そこでホスピタリストが関与することでより効率よく専門医が専門手技に集中し、より効率的な病院経営が可能になると思われます。

ホスピタリストは真に貴重な専門医をよりよく機能させるためのサポーターになるのだと思います。この専門医には当然、外科も含まれます。

これは、本書で周術期管理が1章を設けて詳細に記述されていることからも明らかです。

 

また本書では各論的な問題としてDVT、血糖マネージメントなどが挙げられています。

これらの章立てを読んで感じることは、標準的治療が徹底されているということです。書いている内容自体に新規性があるわけではないのですが、エビデンスに基づく治療の標準化が強調されており、個人の裁量が良くも悪くも大きい日本のプラクティスと対照的だと感じました。

筆者はホスピタリストはスペシャリストではなく当たり前のことを当たり前におこなうだけであるとご謙遜されていますが、個人的には横断的能力のスペシャリストと言っても過言ではないのではと感じました。

これは、「病棟診療のコンダクター」という石山先生のお言葉に端的に表れていると感じました。

それを象徴するように後半は、周術期管理、老年ケア、緩和ケア、医原性トラブルへの対応、医療の質など横断的な分野が強調されています。

特に周術期管理は、きちんと系統的に勉強したことがなかったので、とても参考になりました。

野木先生のエビデンスとホスピタリストの実践に基づく記載に圧倒されるとともに、先に述べたエビデンスに基づく標準化が徹底されていて、システムとしてのアメリカの医療の先進性を感じました。

この章立てだけでも、ホスピタリストが何に重きを置いているかが伝わります。

つまり、難しい奇病を診断することがホスピタリストの業務の本質ではないとうことかと思います(確かに診断は楽しいのですが。。)

石山先生も臨床推論の醍醐味を強調されていますが、「当たり前の診断を当たり前に病歴と身体診察を中心に診断する」というスタンスが垣間見えます。

そして、最後のホスピタリストが身に着けるべき「非臨床スキル」の項目が秀逸です。

アメリカのホスピタリストの学術団体であるSHMではホスピタリスㇳのコアコンピテンシーとして3つの項目を提唱しています。

①臨床知識

②手技

③医療システム

最後の章は、この③医療システムに焦点を当てて記載されています。

この章はホスピタリストという医師の総括とされています。つまり、ホスピタリストの本質がこの章で語られているということになります。

具体的には、コアコンピテンシー、コミュニケーションスキル、バランス感覚、リーダーシップ、多職種マネージメント、教育、プロフェッショナリズム、コスト意識の8つの要素が語られています。

病気をたくさん知っているという知識面での能力は前述のコアコンピテンシーのひとつに過ぎないとも言えるかもしれません。

そしてホスピタリストの仕事の肝はコミュニケーションとされています。

つまり自分自身がプレイヤーになるというよりも、マネージャーとして専門医、コメディカル、患者・家族とうまく連携する能力が要求されるということです。

実際にコミュニケーションやマネージメントが好きな人がホスピタリストに向いており、それらが苦手な人には辛いのではという記載があります。

筆者のお人柄からもそのようのコミュニケーションの重要性が伺えます。

このような能力は、大学病院のような大病院であっても、当院のような100床規模の小規模病院でも同様に必要であるという点で、ホスピタリストの本質的能力ではないかと考えています。

ホスピタリストの専門性は横断的な能力と言えるかもしれず、家庭医とも親和性が高そうな印象です。

示唆に富む非常に素晴らしい本であり、一読を勧めます。

本当に、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

GeneralistとMultispecialist


友人のソーシャルネットワークでの書き込みをみてなるほどなと思いました。
GeneralistとPolysubspecialistという概念を提唱していました。

*とある先生からのご指摘で、PolysubspecialistよりもMultispecialistが良いのではというご意見を頂き、Multispecialistに変更しました。
個人的な解釈ですが、前者は総合診療(家庭医療)の理論を基盤に置いたジェネラリズム、つまり全人的に診ることの専門家という意味になるかと思います。
あるいは、コモンディジーズの専門家ともいえるかもしれません。例えば、それが病院セッティングになるのであれば誤嚥性肺炎や尿路感染など高齢者のコモンディジーズを深める必要があります。医学的なところだけではなく、特に高齢者で問題になるようなリハビリ、栄養、倫理などをトータルマネージメントする専門性と言い換えることが出来るかもしれません。
一方、Multispecialistは内科を中心にあらゆる病気に対して深く広い知識と経験を持つ医師像と言えるかもしれません。知識を日々アップデートして幅広い診療を自分自身で行うことに専門性を持つ医師像かもしれません。正直言うと自分はこのような医師になりたくて、なれなかった人間かもしれません。だってカッコいいんですから。何でも知ってて何でも出来る医者って。正直、誤嚥性肺炎を適切にマネージメントできますというよりも、ずっとカッコいいと思います。
しかし、Multispecialistにも弱点があります。それは、限られたスーパーマンでしか成立しないということです。そもそも、日々知識をアップデートし続け、さらに深く広い知識を縦横無尽に駆使できる医者がどれほどいるでしょうか。。私には困難な道かもしれません。総合内科の後期研修を終えた医師がそのまま総合内科としてキャリアを積まずに、専門内科に行ってしまう理由はここにあると思います。つまり、スーパーマンとしてのMultispecialistに自分はなれないと悟り、専門内科に行く道を選ぶのだと思います。また日本ではまだ専門医志向が強いという現状もあると思います。実際、総合内科がベースにある専門内科医は大学病院でも活躍できる一方、ベースに総合内科があるので小規模病院や訪問診療でも活躍できる素地があります。逆に、Multispecialistが十分に活躍できる環境は実は限られていているように思います。Multispecialistは従来の専門医とアイデンティティーが被る可能性があり、優劣の対立構造になるリスクがあります。
Generalistはも同様に大学病院などでは生きる道がなさそうですが、そもそも専門性やアイデンティティが従来の専門医と被らないので、従来の専門医が興味がないけどしかし大切なところで活路を見出すことが出来るかもしれません。例えば、研修医教育、チーム医療、誤嚥性肺炎やリハビリ栄養への横断的介入などです。つまりGeneralistはスーパーマンでなくても成立し、かつ汎用性があるという意味でこれから総合診療を目指す場合は最低限身に着けるべき素養と言えるかもしれません。
ではMultispecialistがダメかというと決してそうではありません。いつの時代もカッコよさを追求したいものです。何でも知ってて何でもできる医者ってかっこいいですから。特定の分野の発展にはスーパースターは必要です。
理想は、GeneralistとMultispecialistがアウフヘーベンした医師像です。
今度、JPCAで行う勉強会の講師はまさにそれを体現しています。

http://www.primary-care.or.jp/imp_news/pdf/20180305.pdf


ジェネラリズムを理論と実践から体得しつつ、さらにMultispecialistを追求する若い医師が出てきてくれたら最高なのにと思っています。
きっとそのような医師は新しい総合診療専門医研修から生まれてくれるのだと僕は信じています。そのような医師が育つための下地に自分がなれればと夢想しています。

私はGeneralistとMultispecialistとしても全く未成熟ですが、これからも努力をしていこうと思います。

絆と病院総合医の両輪

今週末はあっという間に過ぎ去りました。

土曜日は日直でした。救急は全然来ませんでしたが、総合内科の全患者のチャート回診およびベットサイド回診を行い、いろいろ病棟の仕事をしていました。

今更ながらに、病棟が好きなんだと思います。最近は、訪問診療も面白いなと思いますが、やはり一番は病棟が面白いです。

日直が終わったあとは、初の関西と関東の合同若手医師フェデレーションに参加。懐かしい仲間たちと旧交を温めました。

ウルトラマンネクサスに絡めた締めの言葉も述べさせていただきました。ネクサスの名言、絆は光だとは恥ずかしくて言えませんでしたが、絆は大切だと本当に思いました。

関西と関東の若手医師フェデレーションのスタッフが交流ができて本当によかったです。準備をしていただいた皆様、ありがとうございました。

その後、懇親会には参加せずに新幹線に伸び乗り京都へ。

弟の家に泊まり込んで、しこたまお酒を飲んで寝て、本日は日曜日。

音羽病院のJHNセミナーで不明熱の勉強をしました。

酒見先生の症例検討会から始まり、神谷先生、上田先生、西澤先生の不明熱レクチャーと盛りだくさん過ぎて、とても勉強になりました。

改めて知識の整理が出来てよかったです。

いろんなホスピタリストの先生方と旧交を温めることもできたり、新たな出会いもあったりでとても意義深い会でした。

そこで偶然、会った家庭医のM先生に車に乗せていただき、そのまま近畿ポートフォリオ発表会に連れて行ってもらいました。

実は、ポートフォリオ発表会ははじめての参加でしたが、家庭医の後期研修の先生方の考察が非常に深くて勉強になりました。

音羽で一緒に救急研修をした後輩の先生がとても立派になっていて優秀賞も取っていて感慨深いものがありました。

知り合いの先生も大勢いて、非常に居心地がよい環境でした。

また、病院総合医っぽいポートフォリオやリハビリのポートフォリオもあって、とても面白かったです。

そして、病院総合医の大先輩である川島先生の講演も聞けて、大満足な一日でした。

川島先生の講演を聞くと、自分も頑張らないといけないなと元気が出てきました。

僕自身、GIMも家庭医療も両方かじっているということもあるので、絆が広がり個人的にも役得だなーと改めて感じています。

音羽で再開したホスピタリストの指導医が一から家庭医医療研修を開始しているという話を聞きましたが、とてもイキイキとされていました。

GIMと家庭医療は、病院総合医の両輪なのかもしれません。

家庭医療・総合診療研修をしたあとに、GIMとして病院で働くことはとても意義深い気がしています。

川島先生も同じようなことをおっしゃっていました。

逆に、病院総合医、ホスピタリストを目指す場合は、診療所や小規模病院での研修、家庭医療的な考え方を学ぶことも同様に意義深いと思います。

このように絆が広がっていくことは、ありがたいなと思いつつ、明日の仕事に向けて東京に帰ります。

 

 

 

 

総合診療専門医が1階にあるべきである理由

とある先生にメールした内容ですが、ブログで共有しようと思います。

総合診療専門医が内科と同様に、1階にあるべき理由になります。

 

確かに僕の周りの総合内科医/ホスピタリストでも、総合診療専門医が1階建てにあるのは、おかしいという意見をよく耳にします。個人的には気持ちはよく分かります。内科を、ちゃんとやることの難しさは実感していますし、いまでも自分が内科を広く深く診れている自信はありません。総合内科として5年間働き続けてもこのありさまですので、総合診療専門医として後期研修の3年間の間に内科以外もいろいろ、つまみ食いしているだけで内科の基礎が身につくのかという疑問は当然湧いてくると思います。
しかし、一方で個人的な結論としては、総合診療専門医が1階にあること自体には僕は賛成しています。それは、プライマリ・ケア連合学会で4年間、家庭医の先生方と仕事をしてきた経験が大きいと思います。また同期の病院で働く家庭医を見てきた影響も大きいと思います。優秀な家庭医のbiomedicalだけでなく社会、精神など全人的に患者を診るための理論・能力を目の当りにすると自分に欠けているのはこういうところなのだと医師6年目の際に実感できました。自分が家庭医療の理論を勉強したいので、雑誌の編集も名乗りを上げたりしました。

https://www.amazon.co.jp/治療-2016年-10-月号-病院×家庭医療/dp/B01LWY1D7R


医師としての基礎をどこに置くべきかという問題はありますが、家庭医療的な思考は根本的な医師のOSに関わるので、後で再度ダウンロードし直すのは相当に困難です。私は、たまたま幸運に恵まれてOSをダウンロードし直しましたが、しかし家庭医の先生ほどに全人的に患者を診ることは出来ないなと感じています。一方、ホスピタリストに必要な診断学や内科マネージメントは、幅広く3年間総合診療研修をした後に改めて総合内科として働くことで伸ばすことは比較的容易に感じます。実際に家庭医療専門医を持っているホスピタリストは非常にバランスが取れている印象です。biomedicalに関して極めた達人もいますが、皆が彼らのようになれるわけではないことを考えれば、僕は総合診療研修を先にするほうがバランスが取れた人材が増える可能性が高いと考えています。また、総合内科として内科の後期研修を終わった医師が、消化器内科などの専門家に進むことが多いことも問題だと思っています。家庭医療研修を終わった人材はかなりの確率でそのまま総合診療を続けることとは対照的です(ちなみに、家庭医療専門医の50%は病院で働いています)
開業するための資格として総合診療研修があるべきだという意見もありますが、別に考えたほうが良い気がします。本当はそののようなシステムが望ましいと考えますが、まずは総合診療を志す研修医をどう育てるかが重要かと考えます。以上の理由で、総合診療専門医が1階立てにあるほうが望ましいと考えています。むしろ、2階建てに病院総合診療専門医という資格を作るべきだと僕は考えています。病院総合診療専門医は、内科専門医からも総合診療専門医からも行くことが出来る資格であるべきだと思います。そのかわりに、内科専門医の先生方は家庭医療的な研修を集中的に行い、総合診療専門医の先生方は内科的な研修を集中的に行うことでバランスが取れると考えています。