GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

GPが継続的に診ることで入院は減るか?

Association between continuity of care in general practice and hospital admissions for ambulatory care sensitive conditions: cross sectional study of routinely collected, person level data | The BMJ

 

 

GPによる継続的なケアがambulatory care sensitive conditions(適切にマネージメントすることで入院を防ぐことが出来る状態)に関連した入院を減らすかどうか調べた研究。

横断研究。

Clinical Practice Research Datalinkに参加している200人のGPにおけるプライマリケアおよびセカンダリケアの記録を調べた。

患者は総計230472名、2011年4月から2013年3月の間にGPと少なくとも2回のコンタクトを経験している。

継続的なケアは the usual proviedr of care index(2011年4月から2013年3月の間に診察したうちで同じ医師だった割合と定義)を用いて評価。

平均して、 the usual proviedr of care indexは0.61であった(少人数の施設では0.70であったが、大人数の施設では0.59と少人数の施設のほうがケアの継続性は高い)。

ケアの継続性が高いことは、ambulatory care sensitive conditionsに関連した入院が少ない傾向だった。

人口統計学的および臨床的な患者の特性を制御してモデル化すると、 the usual proviedr of care index0.2の増加は、ambulatory care sensitive conditionsに関連した入院を6.22%(95%信頼区間4.87%〜7.55%)減少させた。

プライマリケアのヘビーユーザーである患者で特にその傾向が強かった。

また、重度の患者は、外来診療に敏感な状態で他の患者よりも多くの入院を経験した(GPが18回以上診察している場合患者1人当たり0.36人の入院であったのに対し、GPの診察が2~4回だった場合患者1人当たり0.04人であった)

GPにおいて継続性を改善する戦略は、特にプライマリ・ケアのヘビーユーザーにおいて、セカンダリーケア費用を削減する可能性がある。

 

ケアの継続性が low medium highによってベースラインは変わりなし。

ただし、ケアの継続性がlowのグループではGPに診察してもらう回数が多い傾向。 (13.11 per person, compared with 11.34 per person)

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the usual proviedr of care indexの比率による分布

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GPが多い施設であればあるほど継続性は低い傾向。

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○ambulatory care sensitive conditionsに関連した入院を予測する因子

高齢者、専門家にコンサルトしている、長期のフォロー、GPに診察してもらう回数が多い 

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⇒ambulatory care sensitive conditionsに関連した入院はケアの継続性が高いほど少ない

 

 

 

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⇒ambulatory care sensitive conditionsに関連した入院はケアの継続性が高いほど少ない傾向は特に頻回にGPを受診している患者で顕著

 

 

○感想

確かに一人の医者が継続的に診たほうが無駄な検査や入院は減るかもしれない。グループ診療をするにしても可能ならば同じ人が同じ患者さんを診るほうが良いかもしれない。特に頻回受診している患者さんは同じ人が診たほうがよいだろう。

これは実際の感覚でも常連さんは同じ人が診たほうが無駄な検査が減る傾向はあると思う。

日本でも、かかりつけ医という概念が広がるのが大切かもしれない。

入院の主治医でも同じ傾向があるかは興味がある。