GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

早期胃癌におけるピロリ菌除菌による2次予防 rct

Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer: an ... - PubMed - NCBI

 

ピロリ菌の除菌について少し最近悩んでいます。

萎縮性胃炎でも全例除菌すべきか。

ひとまず、胃癌の2次予防の効果はまず確からしいようですがその根拠となったrctを読んでみました。

P  20-79歳で早期胃癌と診断 OR 新規に診断され内視鏡的な治療をしようとした患者 OR 内視鏡的な治療をした後にフォローをしている患者

除外 ピロリ菌感染がない 内視鏡的治療後に別の胃癌を発症 胃手術の既往歴

I ピロリ菌を除菌(ランサップ400の保険適応治療)

C ピロリ菌を除菌しない群

O Primary endpoint:新規の癌 

日本の51施設の多施設研究

open label ただ解析者は割り付けをブラインドされている

computer-generated listで割り付け

割り付けのベースラインは両groupで均等

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modified ITT解析であり脱落者は解析出来ていない

各群最低234人必要⇒人数は足りている

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◯結果

modifi ed intention-to-treat populationにおける癌の再発

除菌群: 14.1 cases per 1000 personyears

コントロール群 40.5 cases per 1000 person-years

hazard ratio 0.339, 95% CI 0.157–0.729, p=0.003

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明らかに除菌をしたほうが癌の再発は減っている。

ITT解析ではないが、それを差し引いても明らかな効果あり。

hard outcomeでありopen labelだが問題ないか。

他 studyの質も問題なさそう。

やはり、早期胃癌に対するピロリ除菌による癌の二次予防の効果は確からしいと言える。