GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

抗菌薬を必要としない急性咽頭痛へのステロイド

P:すぐに抗菌薬を必要としない急性咽頭

I デキサメタゾン10mgを単回投与

C プラセボ

O 

・primary outdome

24時間の時点での咽頭痛の消失

・secondory outcome

48時間の時点での咽頭痛の消失

症状の持続 

仕事や教育ができなかった期間

抗生剤の使用や他の薬剤の使用

副作用

 

英国の42の家庭医療の施設での多施設研究 

フォローアップは28日間 576人がenroll

ブロック法でランダム化

double blind 

 

抗菌薬は4割程度で後で使用している

グループ間の差はなさそう。

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センター3点以上が14% 咽頭培養は合計 デキサメタゾン群で14.6%, プラセボ群で19%で陽性

関係ないがGroupA以外の菌も培養されている。

 

 

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全員をフォローしているわけではないが、フォローアップは比較的されている

 

 

結果

デキサメタゾンを投与したほうが症状が消失している割合は高い傾向。

24時間の地点でoverall 22.6% vs 17.7% で有意差なし(P = .19)

48時間の地点ではoverrall  (35.4%)  vs (27.1%)( P = .03) とデキサメタゾンが優れている傾向 

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症状改善までの時間は有意差なし

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その他のアウトカムも変わりなし

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副作用

5つの重篤な副作用のうち2つがデキサメタゾン群。そのうちの1症例はトライアルに関係があるとされた。。

 

 

◯感想

確かに自覚症状に関してはデキサメタゾンが良い傾向があるかもしれない。

ただ信頼区間も広めであり、48時間の地点でかろうじて差が出た程度。

primary outcomeもhard outcomeではない。

このRCTだけでは明らかな副作用は増やさなさそうだが、深部膿瘍の合併症を増やす懸念が拭いきれない。。

年齢も平均30台と若いので高齢者には適応出来ない。

studyとしては興味深いがこのstudyだけで実臨床を変えるほどの結果にはならないだろう。。

桔梗湯が使えるし、無理にステロイドを使わなくてもよいかも。。