GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

Case 12-2017: A 34-Year-Old Man with Nephropathy

以下ネタバレあり

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34歳男性 聴力障害有り

11週前までは健康

倦怠感、寝汗、熱、食欲低下、悪心あり悪化傾向

咳と息のしづらさも徐々に出現 尿も泡立ち

体重も9kg減少

入院15日前に他院受診。

気分不良、嘔吐、胸痛が出現 胸痛は悪化傾向

バイタルは安定 発熱なし 呼吸状態安定

頸部リンパ節腫脹有り

両側呼吸音低下、ロンカイあり

腹部には圧痛あるが平坦、柔

L/Dは下記 BUN17 Cr1.6と腎機能障害

尿は泡立っている 比重1.037 尿のpH:5.0 尿潜血あり

尿蛋白は最低500mg/dl 

心筋梗塞を疑う所見なし

沈渣 WBC10-25 high field  RBC0-2 high field

CTではコンソリデーションを伴わない胸膜の肥厚

 

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◯個人的な感想

・糸球体腎炎はありそう。それに伴いネフローゼになっているか。

さらに何らかの炎症も背景にありそう? 消耗している

では病因は??

感染症

細菌:感染性心内膜炎はありえる。 Drug userではないか?

結核:非典型的だがなくはないか。。

ウイルス:HIVは常に考える。あとは肝炎ウイルスやEB,サイトメガロも??

・悪性腫瘍

悪性腫瘍ならリンパ腫を第1に考える。

膠原病

小血管炎は考えられる。肺腎症候群として MPA? 欧米ではWegenerの頻度高い? Goodpastureも。

ただ、蛋白尿をきたすのが少し合わない?

SLEは蛋白尿も含めて考えるが、ただ消耗しすぎな印象も。

・その他

原発性の糸球体腎炎?? ただ全身症状をきたしすぎ

アミロイドーシスも鑑別か。

 

 

◯その後の経過

 

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エコー輝度上昇、腹水 両腎の造影 腹腔内リンパ節腫大あり 

 

 

 Focal segmental glomerulosclerosis 巣状分節性糸球体硬化症は蛋白尿と腎不全をおこす

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結局

HIV腎症は通常、CD4カウントが250以下にならないと出現しないが、稀に急性HIV感染でも出現する。消耗が激しいという臨床状況とも合致

 

臨床診断

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→病理も巣状分節性糸球体硬化症でありHIV腎症に矛盾しない

 

 

最終診断

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