病院総合医が目指すべき方向は決まった あとは、そのゴールを目指すためにどうすれば良いか
家庭医療の大家である藤沼先生のブログの記事がアツい。
藤沼先生の提案によると日本の総合診療専門医の医師像は、下記の2つの医師像のハイブリットであるとされている。
1.診療所(病院も含む)の非選択的外来診療、在宅医療、地域の保健予防活動を担うプライマリ・ケアの専門医(ほぼ家庭医療に一致する)
2.病院において必要に応じた病棟医療、一部救急医療や外来診療を担うPhysician for adult medicine≒ホスピタリスト≒(総合)内科医
この原則は、
放射的な議論から「帰納的」に生み出された日本独自のコンセプトであるという認識が必要である。
と藤沼先生は強調されている。
私は、この原則を日本における総合診療のセントラルドグマと言っても過言ではないと考えている。
日本における総合診療の在り方において、これほど示唆的な原則はないだろう。
私たちが、目指すべき方向性は決まった
あとは、そのゴールを目指すためにどうすれば良いか、である。
特に、病院総合医を目指す我々にとってこそ、セントラルドグマの意義は大きい。
日本の病院総合医は、家庭医療と総合内科をハイブリットさせた医師像である。
これは、私が城東病院で目指している医師像に他ならない。
jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com
どちらが良いとかではなく、どちらも必要なのである。
家庭医療をベースにやってきた医師が病院総合医として働き始めるのならば、ホスピタリスト≒総合内科の素養をさらに研修すべきであると言える。
逆に総合内科≒ホスピタリストをベースにやってきた医師が、病院総合医としてキャリアを積むのであれば、家庭医療の素養をさらに研修すべきであると言える。
私は、後期研修で総合内科≒ホスピタリストの研修を受けたが家庭医療の研修は受けてはこなかった。
よって城東病院に来てから意識的に家庭医療を勉強してきた。
特に病院における家庭医療の実践について知りたくて、本の編集もした。
https://www.amazon.co.jp/治療-2016年-10-月号-病院×家庭医療/dp/B01LWY1D7R
家庭医療学の実践については家庭医の先生には遠く及ばないと思うが、今までのキャリアは間違ってなかったと考えている。
病院総合医としてキャリアを歩むうえで総合内科≒ホスピタリストしか拠り所がなければ、限界が来る。
少なくとも日本においては、一部のスーパーマンや限られた施設でしか成り立たない医師像であると言える。
結果、せっかく総合内科の研修をしても、病院総合医ではなく専門内科のスペシャリストとしての道を歩むことになることが多々あるのである。
逆に言えば家庭医療をベースにしてきた医師が病院で働くのであれば、総合内科の研修をどこかで重点的に研修する時期があっても良いかもしれない。
なお、後期研修だけでこの2つの能力が身につくことは困難であり、自戒を込めて、常に学び続けるという姿勢は大切にしたい。
その意味で6年目以降の病院総合医のフェローシップの構築も課題であると言える。
それでも、病院総合医が目指すべき方向性は決まった。
あとは、具体的な教育システムをどうするかなどを議論し、どのようにそれらの素養を身に着けるかということになる。
どちらが必要かという議論は、そろそろ終わりにして、病院総合医の未来に向けて歩み始める時が来ているように思う。
日本で病院総合医を目指す若手医師は肝に銘じてほしい。
家庭医療学と総合内科は、どちらが良いのではなくどちらも必要なのである。
どちらのほうが得意かというグラデーションはあってもよいが、どちらかだけでよいということは、ありえないのだと思う。
病院総合医が目指すべき方向は決まった
あとは、そのゴールを目指すためにどうすれば良いかなのである。