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GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合内科の森川暢によるブログです。日々GIMに関するネタを書く予定です

ニューモシスチス肺炎に対する予防投与は、バクタ半錠でも十分かもしれない

感染症 リウマチ・膠原病 ジャーナルクラブ

Optimal regimens of sulfamethoxazole-trimethoprim for chemoprophylaxis of Pneumocystis pneumonia in patients with systemic rheumatic diseases: results from a non-blinded, randomized controlled trial

 

 

背景:

スルファメトキサゾール - トリメトプリム(ST合剤)は、全身リウマチ性疾患を有する免疫抑制患者におけるニューモシスチス肺炎の予防のための標準的な薬物であるが、有害事象(AE)により中断されることがある。

 

P:全身リウマチ性疾患の患者で、プレドニゾロン≧0.6mg / kg /日を開始した成人患者

Inclusion

  (1)20歳以上であること。
(2)新規発症 or 再発した全身性リマチ疾患
(3)書面によるインフォームドコンセントがある

(4)0.6mg / kg / dayまたはそれ以上の経口プレドニゾロンまたは、免疫抑制剤を使用しているにも関わらず同等の用量を使用
(5)SMX / TMP、ペンタミジン、ダプソンを使用していない
(6)血清クレアチニンが正常範囲内

Excusion

 (1)同意の取り消し。
(2)SMX / TMPに対する禁忌あり。
(3)生物学的薬剤を使用・
(4)PJPの履歴を有する。
(5)制御不能な合併症を有する。
(6)体重が40kg未満
(7)妊娠中または授乳中の女性;
(8)24週間以内に妊娠する予定
(9)プレドニゾロン開始から10日以内にSMX / TMPを開始できない場合 

I : ST合剤半錠(HS、毎日200 / 40mg)

C: ST合剤1錠(SS、SMX / 400 / 80mg /日のTMP)

    エスカレーション群⇒0.1錠で開始し半錠まで漸増(ES、毎日40/8mgで開始し10%/weekで200/40 mg/dayまで漸増し、200/40 mg/dayで継続する)

O :

primary endpoint :24週目のPJPの非発生率(非IR)

secondory endpoint:ST合剤の継続率

 

非盲検のRCT 非劣性試験 日本における多施設研究

 各々のグループに58人が必要で合計174人が必要

 

○結果 

183人を3群に1:1:1の割合で無作為に割り付け。

SS患者:58人、HS患者:59人、ES患者55:人

合計172人の患者が分析に含まれた。

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○ベースライン

平均年齢は60歳前後

HS群では多発性筋炎/皮膚筋炎が多く、SS群では血管炎が多い傾向。

ステロイドの量はSS群で多い傾向?? 他変わりなさそう

 

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○primary outcome

primary outcome: PJPの症例はどの群でも報告されなかった。

post-hoc analysisを用いると、 SS:93.8–100%, HS:93.9–100%,ES:93.5–
100%

HSとESを合算した毎日SMX / TMP200 / 40mgを受けた患者におけるPJPの非IRの推定値は、96.8〜100%だった。

 


全体的な中断率は、HS(半錠/日)と比較してSS(1錠/日)と比較して有意に低かった(p = 0.007)。

⇒ESは当初は確かに中断は少ないが、徐々に中断する割合が増えてきて、4週を目安にHS群のほうが中断が少ないように見える。

有害事象(AE)による中止率は、SSと比較してHS(p = 0.006)およびES(p = 0.004)で有意に低かった。

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○副作用

重篤な副作用は変わりないが、副作用の結果中断する割合はSSで明らかに多い

血球減少と低ナトリウムはSSで多い傾向

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○感想

副作用に関しては確かにバクタ半錠は1錠(SS)に比べ半錠(HS)では少ない傾向

最初から半錠にするか(HS)、0.1錠から漸増して半錠にするか(ES)に関しては、結局、最初から半錠にするほうが長い目で見れば脱落は少なそうに見える。

ただ、非盲検の研究であるため、バイアスが存在する可能性がある。医師はSSで副作用を多く報告する可能性がある。

さらにESでは、投与量を増加させる時に、一定用量レジメンと比較して患者の状態を確認する機会が増えることで副作用の発生率に影響を与える可能性はある。

とはいえ、0.1錠からの漸増は手間がかかることを考えれば、ルーチンで行う必要はなさそう。

 

観察期間が短いので本当に1錠と半錠で非劣性かどうかは結論が出ないかもしれない。

ただ、discussionにはコルチコステロイドの開始からPJP開始までの期間の中央値は12週間と報告されており、その25%がコルチコステロイド治療の8週間後にPJPを発症したので24週間の観測期間が適切であろうと記載。

 

なお、すべての医療機関がリウマチ性疾患に特化しており、PJP予防に対する高い意識を持ち、SMX / TMPの割り付け治療が中止されたときに、PJPの予防措置を予想以上に適切に実施したことも影響しているかもしれない。

この試験はPJPの一次予防に焦点を当てており、現時点で二次予防としてSMX / TMPを200mg / 40mg/dayを使用する根拠はないことに注意。

 

Up to Dateの非HIV患者のバクタ予防投与のところを見ると、腎機能が正常であれば。。

Trimethoprim-sulfamethoxazole is the recommended first-line agent for PCP prophylaxis based upon its proven efficacy (table 2) [1,20,21,26,27,29]. For patients with normal renal function, it may be given as one double-strength tablet daily or three times per week or as one single-strength tablet daily.

とバクタを2錠/日 or 2錠を週3回 or 1錠/日 と記載。

若年者で腎機能が正常ならば少なくともバクタは1錠/日 or 2錠を週3回が現状では無難だと思われる。

ベースラインの平均年齢も60歳なので、やはり若年者に、そのまま当てはめるのは危険かもしれない。

ただ、高齢者で腎機能が自然に低下しているような患者さんでは、バクタ半錠 or バクタ1錠を週3日というプラクティスもありかもしれない。

(施設毎に専門家に確認が必要だと思います)