GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

脊髄損傷と膀胱癌の関連

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

リハビリ病院におけるコホート研究

3670人のspinal cord injuryの患者を対象としている。

留置カテーテル、留置カテーテル未使用、 multi カテーテルに分けて検討

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ICD使用は頚椎病変で多い。

 

 留置カテーテル使用で明らかに膀胱癌が増加

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留置カテーテルではRR4.9と相対リスク増加

maltiple catheterではそれほどではない。

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留置カテーテルは膀胱癌のリスクと思われる。

 

 

 

では、どのタイプの膀胱癌が多いのか?

Bladder cancer in spinal cord injury patients. - PubMed - NCBI

 

脊髄損傷に関連した膀胱癌の特徴を検証した後ろ向きの研究

 

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扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌の順番に多い

 

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このstudyでは留置カテーテルはそれほど多くはない

→神経因性膀胱自体が膀胱癌のリスクである可能性あり。

 

 

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さらに比較的進行している癌が多い。

カテーテルや感染などによって癌がよりagressiveになっている可能性あるとのこと。

 

あと、そもそもカテーテルが留置されていて常に膀胱が収縮しているため、膀胱癌がなくても膀胱壁は肥厚している傾向にあるため、診断が遅れるかもしれない。

 

 

つまり脊髄損傷の患者は膀胱癌のリスクが高いため、注意深くフォローし、膀胱鏡のリスクは低くすべき。