GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

A型肝炎 レビュー 

東南アジア帰りの若年者・黄疸・トランスアミナーゼ著明高値。

A型肝炎について勉強してみました。

 

A型肝炎ウイルス感染は世界的に発生し衛生状態の改善奥に途上国で問題なっている。 HAVは、環境的に安定した一RNAウイルスであり、主に糞便 - 経口経路、人から人への接触、または汚染された食物および飲物の摂取によって伝達される。 HAV感染につながる主な原因として、生の甲殻類、特に牡蠣および二枚貝の経口摂取が挙げられる。これらの貝類は、filterを介して、下水を含む周囲の水からウイルスを濃縮し、結果として消費者に健康上の脅威をもたらす。

nternational Food Research Journal 16: 455-467 (2009)

 

以下 Up to Dateより

●リスクファクター

衛生状態の悪い地域への住居または旅行、A型肝炎を患う他の人との同居 or性的接触、MSM、公共施設やデイケアでの暴露、違法薬物などがあげられる。

 

●潜伏期間

通常、28日 (平均 15 から 50 日)

 

●症状

突然発症の吐き気、食欲不振、発熱、倦怠感、腹痛

 

●肝臓外症状

Leukocytoclastic vasculitis

関節炎

糸球体腎炎

クリオグロブリン血症

視神経炎

横断性脊髄炎

中毒性表皮壊死

心筋炎

血小板減少

再生不良性貧血

赤血球形成不全

 

●検査所見

血清トランスアミナーゼの上昇(> 1000)、血清ビリルビンの上昇(最大10mg / dL)。

血清トランスアミナーゼはウイルスへの曝露から約1ヶ月後にピークに達し、その後約75%/weekで減少する。

血清ビリルビン濃度は、通常、2週間かけてピークのレベルから徐々に低下する。

INR>1.5、意識障害があれば劇症肝炎を示唆するが、B型肝炎C型肝炎に比べれば稀。

 

●診断

上記のリスクファクターの接触があり、かつ上記の症状や検査所見が潜伏期間に矛盾なく出現することで疑う。

IgM抗体が診断に有用で、急性期や回復期にも検出可能でさらに、3-6ヶ月陽性になりうる。

IgM陰性、 IgG陽性は既感染を示唆。

 

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●鑑別疾患

●B型、C型、D型およびE型肝炎 

●EB virus , サイトメガロウイルス
●黄熱病ウイルス
●単純ヘルペスウイルス
●アデノウィルス感染
HIV感染

マラリア
レプトスピラ症 
●梅毒
●Q熱

●薬物誘発肝障害(DILI)
●Budd-Chiari症候群 
●自己免疫性肝炎
●ウィルソン病 -

 

●治療

A型肝炎ウイルスの感染は、通常、自然に治るため、治療は支持療法になる。 肝障害を引き起こしたり、肝臓によって代謝される可能性のある薬物は注意して使用する必要がある。 完全な臨床的およびL/Dの回復は、患者の85%において3ヶ月以内に観察され、ほぼすべての患者は6ヶ月間で完全に回復する。

万が一、重篤な場合は肝移植の適応