GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

健康で特に症状がない患者へのピロリ菌の除菌について BMJ systematic review +コクランレビュー

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http://www.bmj.com/content/348/bmj.g3174

 

無症状だけどバリウム健診で異常⇒萎縮性胃炎⇒ピロリ菌測定⇒陽性なので除菌という流れがあるが、どこまでやる意味があるのか??

 

P:ピロリ菌陽性だが、無症状で健康な患者

I:ピロリ菌除菌

C:除菌しない or  プラセボ

O:胃がんの発生

 

検索ソース:Medline, Embase, and the Cochrane central register of

controlled trials were searched through to December 2013

言語の制限はなし

2人の評価者が別々に評価している。

RCTを対象としている

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○結果

6つのRCT 述べ1560人を対象

 

 

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異質性問題なし。 除菌群のほうが胃がんは少ない傾向があるかも。

 

 

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ただ、胃がんによる死亡は減らすことが出来ず全死亡率も減らすことが出来ない傾向

 

 

国別の胃がんを予防するためのNNT

日本や中国ではNNTは低め⇒つまり、除菌による胃がん予防効果は欧米諸国より明らかに有効な傾向

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副作用 skin rashは除菌群 3.1%  、プラセボ群 0.1% と皮疹は除菌郡で多い 他変わりなし。

 

 

なお、同様の話題でコクランレビュー有り

Helicobacter pylori eradication for the prevention of gastric neoplasia. - PubMed - NCBI

 

P:ピロリ菌陽性だが、無症状で健康な患者

I:ピロリ菌除菌

C:除菌しない or プラセボ

O:胃がんの発生

 結果、6つのRCTをメタアナリシス

結果

胃がんの発生に関してH.pylori除菌療法はプラセボまたは治療なしより優れていた(6件の試験、6497人の参加者、胃癌のリスク比0.66、95%信頼区間 :0.46~0.95、moderate-quality evidence)。

プラセボと比較した胃癌による死亡に関するH. pylori除菌の効果は、信頼区間が広いために不確実であった(3件の試験、4475人の参加者、RR 0.67; 95%CI 0.40〜1.11;moderate-quality evidence)。

全死因死亡率に対するピロリ菌除菌の効果は認めなかった。(4件の試験、5253名の参加者、RR 1.09; 95%CI 0.86〜1.38;moderate-quality evidence)。

有害事象のデータはほとんど報告されなかった。

 結論としてはアジア人に関しては、除菌に寄る胃癌予防効果があるかもしれないが、 moderate-qualityで限定的なエビデンスと。

 

○結論

以上のことから言えるのは。。

アジア人では、健常者で症状がないピロリ菌感染者で除菌しても、胃癌は減るかもしれないが、死亡率や胃癌による死亡は変わるわけではない。

アジア人でこのような結果が出ているのは、ピロリ菌感染率が高いからか。

ピロリ菌感染と胃癌の関係性は以下の論文からも確からしい。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1728434/

 

ただ、全く無症状の患者を積極的に除菌するメリットに関してはコントラバーシャルで、悩ましいところです。。。

胃癌の家族歴・喫煙者など、胃癌のハイリスク群ではより恩恵に預かる可能性が高いのでしょうか?

今回のsystematic reviewの話題とは違いますが、実際には胃カメラで、炎症が強かったり潰瘍瘢痕があったりすれば、除菌してしまうことが多いです。

無症状で健常者であれば無理に除菌しなくても良いのかもしれませんが、最終的には患者さんと話して決めることになると思われます。

 

 

Histology Rings True

○プレゼン
エタネルセプトとメトトレキサートで治療されている58歳の非びらん性関節リウマチの患者が、2週間の経過の39℃の発熱と著名な寝汗で救急外来を受診した。

先週から目が黄色くなり、黒っぽい尿を認めた。

呼吸困難、腹痛や膨満、吐き気、嘔吐、排尿障害、易出血性、頭痛、または筋肉痛は認めなかった

○コメント

発熱の原因としては通常、感染、悪性疾患、自己免疫が考えられる。一般的ではないが、薬に対する副作用として熱を認める(訳者コメント 薬剤熱は多いけどなー)。免疫不全の患者における発熱は通常、感染であることが多い。抗TNRα製剤は、マイコバクテリアおよび真菌感染やリンパ腫のリスク増加と関連している。関節リウマチ自体が、リンパ腫のリスク増加と関連している。
目の黄染と黒っぽい尿は胆汁うっ滞を示唆されるが、肝内病変 (感染症やリンパ腫)or 肝外病変(胆石など)が考えられる。 

患者の発熱を考えると、最初の優先順位は胆道系の閉塞と胆管炎を排除することである。

黄疸、黒っぽい尿(ヘモグロビン尿)は自己免疫性溶血性貧血、マラリア、clostridium perfingensの菌血症などの溶血性貧血で起こりうる。

関節リウマチの診断は再考する必要がある。分類不能の関節痛が誤って関節リウマチと診断されていることがあるからである。免疫抑制は、時折 whipple病のような関節炎を起こす感染症をマスクすることもある。

 

 

○プレゼン

 十年前に手首と手の多発関節炎を認めリウマチ因子陽性であったため関節リウマチと診断した。患者の症状は、メトトレキサートとエタネルセプトで十分にコントロールされていた。他に高血圧や高脂血症の既往歴が有り、アムロジピンおよびシンバスタチンを内服していた。新規に始めた内服薬はなく、ハーブサプリメントを摂取することもなかった。適度にアルコールを飲み、タバコや違法薬物を使用していなかった。テキサス州で生まれ、カリフォルニア州のセントラルバレーに住んでいた。症状発症の1週間前に、彼はユタ州の国立公園での一週間の旅行から戻っていた。彼はホテルに滞在し、蚊、ダニ、または動物への曝露はなかった。彼は学校の先生として働いていて、30年間一人の妻と過ごしていた。

○コメント

曝露歴からブラストミセスおよびヒストプラスマの再活性化やコクシジオイデス症のリスクがありそれらは全て胆汁うっ滞性を引き起こす可能性がある。

彼が教えて子供の年齢によってはEBウイルスサイトメガロウイルスリスクが高いかもしれない。急性A型肝炎は、発熱、黄疸をきたすが、長期間発熱が継続する点が合わない。ユタ州への彼の旅行で彼の野外活動は、動物または環境暴露を介した感染症の可能性を想起する。げっ歯類の尿が混ざった淡水への暴露がリスクであるレプトスピラ症は、発熱と黄疸を説明することが出来る。野兎病は、野兎病菌ウサギやげっ歯類への暴露によるFrancisella tularensisの感染で、発熱、肝炎を引き起こす可能性がある。

 

 

○プレゼン

体温37.3℃、PR82/分、呼吸数12回/分BP134/65mmHg,酸素飽和度98%RA。

generalは良さそうに見える。強膜および舌下に黄疸が存在し。頸静脈怒張なし。心肺音は正常。腹部検査では肝脾腫なし。右上腹部に触診で軽度の圧痛あり。浮腫、クモ状血管腫、手掌紅斑、またはリンパ節腫脹なし。関節には腫れや変形なし。

WBC6000 Hb 10.9 PLT28万 MCV85 AST179 ALT127 ALP351 T-bil:23.8 直接ビリルビン17.8 INR2.5
尿検査には蛋白尿、血尿、または膿尿なし。胸部X線検査は正常。

○コメント
患者のバイタルサインは正常範囲だが、発熱、右上腹部痛、胆汁鬱滞、黄疸、免疫不全があるので胆管炎を考えざるおえない。

WBC増加は認めないが、免疫不全ではありえる所見。さらにメトトレキセートはWBC低下・骨髄抑制を引き起こす可能性がある。L/Dは肝細胞障害と胆汁うっ滞の混合パターンを示しているが、後者がより顕著。直接ビリルビン高値の鑑別診断は肝外胆管閉塞(総胆管結石症、腫瘍、狭窄)と肝内胆汁うっ滞(ウイルス、マイコバクテリア、真菌感染症、肝膿瘍、浸潤性リンパ腫、癌、薬剤)。

INR上昇はビタミンK存在を反映しているだろうが、これは黄疸もしくは肝機能障害によるものだろう。

ビリルビン血症と凝固障害は、どんな原因の急性肝炎後に見ることができる。この患者の貧血は鉄欠乏と炎症の貧血の組み合わせを反映している可能性がある。溶血は、直接高ビリルビン血症を引き起こすことはなく、出血の証拠はない。

 

○プレゼン

腹部超音波検査では胆嚢周囲の液体貯留と胆石症を認めた。胆管拡張や腹水はなかった。MRCPでは胆嚢壁肥厚と胆石を認めた。胆管拡張、総胆管結石症、fat stranding、肝実質の異常はなかった。PTGBDを行い、ピペラシリン - タゾバクタムを胆管炎として投与した。メトトレキサートとエタネルセプトを中止した。

ウイルス性肝炎の検査は陰性、ANAを提出。血清鉄は17μg トランスフェリチン119mg/dl、フェリチン423μg/l 血液および尿培養は、陰性。

○コメント

胆管結石が胆管炎の最も一般的な原因だが、画像所見ははっきりしない。ただ、胆管炎と頻度と死亡率を考えれば抗生剤を使うのはリーズナブル。PTGBDを行うのはやりすぎ。
自己免疫性肝疾患のための試験は、他の自己免疫疾患のhistoryがあるので合理的。自己免疫性肝炎患者では、ANAは、一般的に陽性であるが通常、発熱はない。原発性硬化性胆管炎および原発性胆汁性胆管炎のような自己免疫性胆道炎も、胆汁うっ滞をきたす。胆管造影が正常であれば、基本的に原発性硬化性胆管炎は除外される。原発性胆汁性胆管炎の除外目的で抗ミトコンドリア抗体は有意義だろう。自己免疫性肝疾患は、細菌性胆管炎を合併しない限り発熱は認めない。患者の内服薬は市販薬も含めてきっちりと調べる必要がある。

 

 

○プレゼン

翌週中には、患者の発熱と肝炎は改善し胆汁うっ滞も徐々に改善。しかし、ビタミンKの投与にもかかわらず、INRが2.5と3.0の間で推移し、凝固障害が継続するため、肝臓移植センターに移された。
腹痛、頭痛、筋肉痛の訴えはなかった。既に熱はなく、黄疸はなかった。PTGBDチューブが入っている以外は特に変わりなかった。血算に変化はなく、末梢血塗抹標本は正常だった。AST39 ALT26 ALP89 T-Bil 3.5mg INR 2.7、フィブリノーゲン312mg/dL。セルロプラスミンおよびα-1アンチトリプシンは正常範囲内。フェリチン817μg/L 、鉄飽和度は20%であった(基準範囲、10- 47)。ANAはspeckled pattern.で160倍。、抗ミトコンドリア抗体検査は陰性だった。血清IgGレベルが1360mg.dl(基準範囲、672-1760)。肝炎の血清学的な検査は陰性でHIVも陰性。

単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、およびEBVのためPCRは陰性だった。精製タンパク質誘導体およびインターフェロンγ放出アッセイでのツベルクリン反応検査は陰性。経胸壁心エコー検査は正常。

○コメント
ビリルビンは、多くの場合、急性肝炎後に正常化するために時間がかかるが、肝臓が回復した場合はビタミンKの複数回投与にも関わらず凝固障害が遷延するのは合わない。

AST/ALTが減少し凝固障害が遷延する場合は完全な幹細胞の壊死が示唆されるが、その場合はよりシックでビリルビンは徐々に上昇するはず。もし胆管炎が存在した場合には、胆管の減圧および抗生物質は、効果的であった可能性がある。総胆管結石の自然経過として、肝機能の迅速な正常化を認めることはあるが、画像的に確認されていない。

レプトスピラ症は、ピペラシリンによって治療されていてもよいかもしれない。肝機能は、患者が野兎病や真菌症を持っていた場合には、正常化しないだろう。CMVは胆汁うっ滞性肝疾患の他の原因であり、子供たちとの接触のリスクは有るが、検査として捉えらられていない。

toxic or 虚血性の肝炎は、self limitedである。ANA陽性であり自己免疫性肝炎も考えるが、IgGのレベルが正常範囲である点が合わない。

・・

 

 

○プレゼン
B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス血清PCRは陰性。抗平滑筋抗体価は160倍だった。

肝生検ではリンパ球が小葉に浸潤し、門脈に非壊死性肉芽腫を認めた(A)。

さらにfibrinのリングを伴った肉芽腫も認めた(B) 脂肪肝は認めるが、脂肪性肝炎やMTXによる薬剤性肝障害の所見はなかった 明らかな壊死や線維化はなく、少数の形質細胞を認めた 抗酸菌・真菌の染色は陰性。 CMVの免疫染色も陰性 慢性の胆道閉塞やリンパ増殖性疾患の所見もなし

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○コメント
肝臓の組織学的検査では、リンパ組織球浸潤といくつかの小さな非壊死性肉芽腫およびフィブリンリングを伴った肉芽腫を示している。特定の肉芽腫の変異体と特定の条件に古典的な関連性がある。(例えば、非壊死性肉芽腫及びサルコイド、壊死性肉芽腫と結核、およびフィブリンリングを伴った肉芽腫とQ熱)。これらの組織学的所見は、必ずしも特異的ではない。
自己免疫性肉芽腫性疾患は関節リウマチの併存と自己抗体の存在から疑うべき。サルコイドーシスを示唆する所見はなく、原発性胆汁性胆管炎は抗ミトコンドリア抗体因陰性であり胆汁の障害も病理学的に認めない。巨細胞性動脈炎は時々肝肉芽腫を引き起こすが、免疫抑制を行わずに頭痛や筋肉痛が改善することが考えにくい。
リンパ腫は肉芽腫性肝疾患を引き起こす可能性があるが、肝外リンパ腫の証拠がなく、生検でリンパ腫を示唆する所見はなく、リンパ腫が原因だった場合に重度の肝障害が自然に改善することは考えにくい。
免疫抑制、高熱、著名な寝汗、癌ではないこと考えると、感染症が肉芽腫性肝炎を説明する理由になりうる。肝外(例えば、肺)感染の再活性化や一次感染には症状が合わずで、真菌染色は陰性。結核の暴露もなく結核菌の染色もそまらず、培養も陰性である。

家畜(例えば、ウシ、ヤギ、羊)への曝露は、ブルセラ症またはQ熱から肉芽腫性肝炎を考えることが出来る。ブルセラ症は家畜(またはその未殺菌乳製品)との直接接触に反応して発生するものの、Q熱は動物との既知の直接接触が存在しない場合にも発生する。肝生検上の特徴的な組織所見(リング状の肉芽腫)からもQ熱を考える。

 

○プレゼン

Coxiella burnetiiに対する血清学的な検査は陽性だった。患者は、2週間のコースのドキシサイクリンで治療し、症状および凝固能は改善した2週間後、仕事に戻り、メトトレキサートとエタネルセプトの投与を再開した。何の後遺症も残らなかった。

 

○解説
診断未確定の肝障害および自己免疫抗体の存在は、自己免疫性肝炎を考えた。肝生検は、自己免疫性肝炎の典型的な織学的所見ではなく、肉芽腫性炎症およびフィブリンリング肉芽腫が判明した。これらの所見は、Q熱の特徴。
肉芽腫変化は、感染、自己免疫、悪性、薬物誘発性、または特発性肝障害で生じる。
播種性真菌およびマイコバクテリア感染は、感染性肉芽腫性肝炎の症例の大多数を占めている。他には野兎病菌の感染症、エルシニア症、放線菌症、バルトネラ感染、ブルセラ症。ウイルス感染症(例えば、CMVまたはEBVによる感染)も考えられる。
肉芽腫性肝炎の非感染性の原因は、原発性胆汁性胆管炎、血管炎、薬物(例えば、アロプリノール)により誘発される肝障害、異物の注入、いくつかの原発性肝腫瘍、およびリンパ腫が含まれる。サルコイドーシスは、古典的には類上皮細胞の非壊死性肉芽腫と関連がある。
フィブリンリング肉芽腫は、中心の脂肪およびフィブリンリングと炎症性肉芽腫によって特徴づけされている。Q熱だけの特徴ではないが、フィブリン環状肉芽腫を有する23人の患者のうち10人(43%)がこの感染症を有することが示された。フィブリンリング肉芽腫はまた、リーシュマニア症、トキソプラズマ症、EBV肝炎、およびアロプリノール過敏症でも起こりうる。
Q熱は、細胞内細菌によって引き起こされる世界的な人獣共通感染症である
ほとんどの人は後に無症候性のまま。潜伏期間は2-3週間。

急性Q熱は、高温、頭痛、肺炎、肝炎によって特徴付けられる。心筋炎および髄膜脳炎はまれな合併症。慢性Q熱は免疫不全患者や妊娠中の患者でリスクが高い。血管内感染症では内膜炎を認める。 血清学的検査は急性および持続性感染の診断に有用。ドキシサイクリンは、心内膜炎なしで妊娠していない成人で選択される抗生物質

ANA陽性とこの患者における抗平滑筋抗体価、ならびに自己免疫疾患のhistoryがあるので、発熱や胆汁うっ滞が非典型的であると認識されていたにもかかわらず、自己免疫性肝炎と考えられた。自己免疫性肝炎の診断は自己抗体(ANAおよび抗平滑筋抗体)、高IgGレベル、ウイルス性肝炎の不在、および組織学的所見の存在を必要とする。生検結果から、この診断を除外した。自己抗体は、多くのリウマチ症状の特徴であるだけでなく、悪性状態、薬物療法、および感染症に関連して存在する。 ANAは、Q熱の患者の12〜35%で報告されており、抗平滑筋抗体は、30〜65%で報告されていいる。9リウマチ因子、抗好中球細胞質抗体、および抗二本鎖DNA抗体もまた、一部の患者で報告されている。
組織学的所見におけるリングが真実であった。

A型肝炎 レビュー 

東南アジア帰りの若年者・黄疸・トランスアミナーゼ著明高値。

A型肝炎について勉強してみました。

 

A型肝炎ウイルス感染は世界的に発生し衛生状態の改善奥に途上国で問題なっている。 HAVは、環境的に安定した一RNAウイルスであり、主に糞便 - 経口経路、人から人への接触、または汚染された食物および飲物の摂取によって伝達される。 HAV感染につながる主な原因として、生の甲殻類、特に牡蠣および二枚貝の経口摂取が挙げられる。これらの貝類は、filterを介して、下水を含む周囲の水からウイルスを濃縮し、結果として消費者に健康上の脅威をもたらす。

nternational Food Research Journal 16: 455-467 (2009)

 

以下 Up to Dateより

●リスクファクター

衛生状態の悪い地域への住居または旅行、A型肝炎を患う他の人との同居 or性的接触、MSM、公共施設やデイケアでの暴露、違法薬物などがあげられる。

 

●潜伏期間

通常、28日 (平均 15 から 50 日)

 

●症状

突然発症の吐き気、食欲不振、発熱、倦怠感、腹痛

 

●肝臓外症状

Leukocytoclastic vasculitis

関節炎

糸球体腎炎

クリオグロブリン血症

視神経炎

横断性脊髄炎

中毒性表皮壊死

心筋炎

血小板減少

再生不良性貧血

赤血球形成不全

 

●検査所見

血清トランスアミナーゼの上昇(> 1000)、血清ビリルビンの上昇(最大10mg / dL)。

血清トランスアミナーゼはウイルスへの曝露から約1ヶ月後にピークに達し、その後約75%/weekで減少する。

血清ビリルビン濃度は、通常、2週間かけてピークのレベルから徐々に低下する。

INR>1.5、意識障害があれば劇症肝炎を示唆するが、B型肝炎C型肝炎に比べれば稀。

 

●診断

上記のリスクファクターの接触があり、かつ上記の症状や検査所見が潜伏期間に矛盾なく出現することで疑う。

IgM抗体が診断に有用で、急性期や回復期にも検出可能でさらに、3-6ヶ月陽性になりうる。

IgM陰性、 IgG陽性は既感染を示唆。

 

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●鑑別疾患

●B型、C型、D型およびE型肝炎 

●EB virus , サイトメガロウイルス
●黄熱病ウイルス
●単純ヘルペスウイルス
●アデノウィルス感染
HIV感染

マラリア
レプトスピラ症 
●梅毒
●Q熱

●薬物誘発肝障害(DILI)
●Budd-Chiari症候群 
●自己免疫性肝炎
●ウィルソン病 -

 

●治療

A型肝炎ウイルスの感染は、通常、自然に治るため、治療は支持療法になる。 肝障害を引き起こしたり、肝臓によって代謝される可能性のある薬物は注意して使用する必要がある。 完全な臨床的およびL/Dの回復は、患者の85%において3ヶ月以内に観察され、ほぼすべての患者は6ヶ月間で完全に回復する。

万が一、重篤な場合は肝移植の適応

 

早期胃癌におけるピロリ菌除菌による2次予防 rct

Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer: an ... - PubMed - NCBI

 

ピロリ菌の除菌について少し最近悩んでいます。

萎縮性胃炎でも全例除菌すべきか。

ひとまず、胃癌の2次予防の効果はまず確からしいようですがその根拠となったrctを読んでみました。

P  20-79歳で早期胃癌と診断 OR 新規に診断され内視鏡的な治療をしようとした患者 OR 内視鏡的な治療をした後にフォローをしている患者

除外 ピロリ菌感染がない 内視鏡的治療後に別の胃癌を発症 胃手術の既往歴

I ピロリ菌を除菌(ランサップ400の保険適応治療)

C ピロリ菌を除菌しない群

O Primary endpoint:新規の癌 

日本の51施設の多施設研究

open label ただ解析者は割り付けをブラインドされている

computer-generated listで割り付け

割り付けのベースラインは両groupで均等

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modified ITT解析であり脱落者は解析出来ていない

各群最低234人必要⇒人数は足りている

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◯結果

modifi ed intention-to-treat populationにおける癌の再発

除菌群: 14.1 cases per 1000 personyears

コントロール群 40.5 cases per 1000 person-years

hazard ratio 0.339, 95% CI 0.157–0.729, p=0.003

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明らかに除菌をしたほうが癌の再発は減っている。

ITT解析ではないが、それを差し引いても明らかな効果あり。

hard outcomeでありopen labelだが問題ないか。

他 studyの質も問題なさそう。

やはり、早期胃癌に対するピロリ除菌による癌の二次予防の効果は確からしいと言える。

 

ニューモシスチス肺炎に対する予防投与は、バクタ半錠でも十分かもしれない

Optimal regimens of sulfamethoxazole-trimethoprim for chemoprophylaxis of Pneumocystis pneumonia in patients with systemic rheumatic diseases: results from a non-blinded, randomized controlled trial

 

 

背景:

スルファメトキサゾール - トリメトプリム(ST合剤)は、全身リウマチ性疾患を有する免疫抑制患者におけるニューモシスチス肺炎の予防のための標準的な薬物であるが、有害事象(AE)により中断されることがある。

 

P:全身リウマチ性疾患の患者で、プレドニゾロン≧0.6mg / kg /日を開始した成人患者

Inclusion

  (1)20歳以上であること。
(2)新規発症 or 再発した全身性リマチ疾患
(3)書面によるインフォームドコンセントがある

(4)0.6mg / kg / dayまたはそれ以上の経口プレドニゾロンまたは、免疫抑制剤を使用しているにも関わらず同等の用量を使用
(5)SMX / TMP、ペンタミジン、ダプソンを使用していない
(6)血清クレアチニンが正常範囲内

Excusion

 (1)同意の取り消し。
(2)SMX / TMPに対する禁忌あり。
(3)生物学的薬剤を使用・
(4)PJPの履歴を有する。
(5)制御不能な合併症を有する。
(6)体重が40kg未満
(7)妊娠中または授乳中の女性;
(8)24週間以内に妊娠する予定
(9)プレドニゾロン開始から10日以内にSMX / TMPを開始できない場合 

I : ST合剤半錠(HS、毎日200 / 40mg)

C: ST合剤1錠(SS、SMX / 400 / 80mg /日のTMP)

    エスカレーション群⇒0.1錠で開始し半錠まで漸増(ES、毎日40/8mgで開始し10%/weekで200/40 mg/dayまで漸増し、200/40 mg/dayで継続する)

O :

primary endpoint :24週目のPJPの非発生率(非IR)

secondory endpoint:ST合剤の継続率

 

非盲検のRCT 非劣性試験 日本における多施設研究

 各々のグループに58人が必要で合計174人が必要

 

○結果 

183人を3群に1:1:1の割合で無作為に割り付け。

SS患者:58人、HS患者:59人、ES患者55:人

合計172人の患者が分析に含まれた。

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○ベースライン

平均年齢は60歳前後

HS群では多発性筋炎/皮膚筋炎が多く、SS群では血管炎が多い傾向。

ステロイドの量はSS群で多い傾向?? 他変わりなさそう

 

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○primary outcome

primary outcome: PJPの症例はどの群でも報告されなかった。

post-hoc analysisを用いると、 SS:93.8–100%, HS:93.9–100%,ES:93.5–
100%

HSとESを合算した毎日SMX / TMP200 / 40mgを受けた患者におけるPJPの非IRの推定値は、96.8〜100%だった。

 


全体的な中断率は、HS(半錠/日)と比較してSS(1錠/日)と比較して有意に低かった(p = 0.007)。

⇒ESは当初は確かに中断は少ないが、徐々に中断する割合が増えてきて、4週を目安にHS群のほうが中断が少ないように見える。

有害事象(AE)による中止率は、SSと比較してHS(p = 0.006)およびES(p = 0.004)で有意に低かった。

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○副作用

重篤な副作用は変わりないが、副作用の結果中断する割合はSSで明らかに多い

血球減少と低ナトリウムはSSで多い傾向

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○感想

副作用に関しては確かにバクタ半錠は1錠(SS)に比べ半錠(HS)では少ない傾向

最初から半錠にするか(HS)、0.1錠から漸増して半錠にするか(ES)に関しては、結局、最初から半錠にするほうが長い目で見れば脱落は少なそうに見える。

ただ、非盲検の研究であるため、バイアスが存在する可能性がある。医師はSSで副作用を多く報告する可能性がある。

さらにESでは、投与量を増加させる時に、一定用量レジメンと比較して患者の状態を確認する機会が増えることで副作用の発生率に影響を与える可能性はある。

とはいえ、0.1錠からの漸増は手間がかかることを考えれば、ルーチンで行う必要はなさそう。

 

観察期間が短いので本当に1錠と半錠で非劣性かどうかは結論が出ないかもしれない。

ただ、discussionにはコルチコステロイドの開始からPJP開始までの期間の中央値は12週間と報告されており、その25%がコルチコステロイド治療の8週間後にPJPを発症したので24週間の観測期間が適切であろうと記載。

 

なお、すべての医療機関がリウマチ性疾患に特化しており、PJP予防に対する高い意識を持ち、SMX / TMPの割り付け治療が中止されたときに、PJPの予防措置を予想以上に適切に実施したことも影響しているかもしれない。

この試験はPJPの一次予防に焦点を当てており、現時点で二次予防としてSMX / TMPを200mg / 40mg/dayを使用する根拠はないことに注意。

 

Up to Dateの非HIV患者のバクタ予防投与のところを見ると、腎機能が正常であれば。。

Trimethoprim-sulfamethoxazole is the recommended first-line agent for PCP prophylaxis based upon its proven efficacy (table 2) [1,20,21,26,27,29]. For patients with normal renal function, it may be given as one double-strength tablet daily or three times per week or as one single-strength tablet daily.

とバクタを2錠/日 or 2錠を週3回 or 1錠/日 と記載。

若年者で腎機能が正常ならば少なくともバクタは1錠/日 or 2錠を週3回が現状では無難だと思われる。

ベースラインの平均年齢も60歳なので、やはり若年者に、そのまま当てはめるのは危険かもしれない。

ただ、高齢者で腎機能が自然に低下しているような患者さんでは、バクタ半錠 or バクタ1錠を週3日というプラクティスもありかもしれない。

(施設毎に専門家に確認が必要だと思います)

 

 



レニン・アンギオテンシン系阻害薬の心不全のない安定狭心症への効果 systematic review+meta analysis

http://www.bmj.com/content/bmj/356/bmj.j4.full.pdf

Renin angiotensin system inhibitors for patients with stable
coronary artery disease without heart failure: systematic review
and meta-analysis of randomized trials

 

P 心不全がない安定型狭心症の患者(EF40%以上、臨床的に心不全を認めない)

I レニンアンギオテンシン系阻害薬(ACE-I or ARB

C プラセボ or  他の降圧薬によるactive control(ほぼCCB)

O

primary outcome 全死亡、心血管死、心筋梗塞脳卒中狭心症心不全

secondory outome  血行再建術、予期せぬ糖尿病、副作用による中止

 

少なくとも100人を1年以上追跡したstudyを集めている。

RCTのメタアナリシスでACE-IとARBの比較は除く

データベース:PubMed, Cochrane Central Register ofControlled Trials (CENTRAL), and EMBASE 

あらゆる言語で検索している

RCTの質はコクランの基準に従い、割り付けやブラインドなどをチェックしている

3人の評価者が独自に評価している

fixed effect model と random effects modelを用いてメタアナリシス

I2 検定で異質性を評価

 

○結果

・全死亡に関してはレニン・アンギオテンシン系はプラセボよりも優れるが、他の降圧薬とくらべても変わりなし 異質性は高い傾向

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レニンアンギオテンシン系の全死亡に関する効果の発現は、control event rateが 高頻度であってはじめて認める

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・心血管死亡に関してもレニン・アンギオテンシン系はプラセボよりも優れるが、他の降圧薬とくらべても変わりなし 異質性は高い傾向

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レニンアンギオテンシン系の心血管死亡に関する効果の発現は、control event rateが 高頻度であってはじめて認める

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心筋梗塞に関してもレニン・アンギオテンシン系はプラセボよりも優れるが、他の降圧薬とくらべても変わりなし 異質性は高い傾向

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脳梗塞狭心症心不全もも同様にプレセボとの比較でのみ効果がある

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ちなにみ薬剤の中止はACE-Iで多い。

there was a significant increase in the risk of drug withdrawal due to adverse
effects with angiotensin converting enzyme inhibitors
(1.57, 1.25 to 1.99) but not with angiotensin receptor
blockers (0.66, 0.34 to 1.28; Pinteraction<0.001; fig S8; table
S4). There was high statistical heterogeneity in the analysis
(fig S8).

 

ただActive controlはCCBを用いていることが多いので他の降圧薬にも適応できないことに注意が必要

 

○感想

 確かに心不全やDM、CKDもない安定している狭心症なら、無理にレニン・アンギオテンシン系の阻害薬を使わなくてもCCBを使っても良いかもしれない。

心血管死亡のリスクが低い場合は特にそう言えるかもしれない。

ただ、ACE-IとARBは違う薬だと思うので、ACE-Iに絞った場合にどうなるかは気になるところ。。

外来で見ているような喫煙者+脂質異常症があり狭心症もあるというような患者なら、やっぱりACE-Iを使いたい気はするが。。(心血管死のリスクも高い)

 

 

 

Case 6-2017: A 57-Year-Old Woman with Fatigue, Sweats, Weight Loss, Headache, and Skin Lesions

*以下ネタバレを含みます

57歳男性 倦怠感 寝汗 体重減少 頭痛 びまん性の腹痛 皮膚病変

24ヶ月前に乾性咳嗽が出現するまでは問題なかった

21ヶ月前に近医受診。咳嗽が継続し食欲低下、中等度の限局した腹痛もあった。体重も122.5⇒108.9kgへ PPIが処方された

徐々に倦怠感と筋肉痛が出現 踵に赤い斑点も出現 皮膚生検はPigmented Purpuric Dermatosisに矛盾しない 採血で好酸球が増加

20ヶ月前に継続する咳嗽で近医受診。胸部Xpは問題なし

単純CTではびまん性の気管支壁肥厚があり慢性炎症が疑われた

傍心臓、腸間膜、porta hepatis、後腹膜のリンパ節腫脹あり

19ヶ月前に上部消化管内視鏡⇒生検したが胃炎の所見

ヘリコバクター・ピロリの免疫染色は陰性

18ヶ月前にMRI撮像⇒門脈周囲のリンパ節腫脹

軽度の脾腫あるが他、明らかな異常なし 膵臓腫大なし

さらに造影CTも追加したら、中等度の気管支壁肥厚、腋窩リンパ節腫脹、 心外膜リンパ節、および 門脈、門脈周囲および腸間膜領域のリンパ節腫脹

 17ヶ月前に腋窩リンパ節生検⇒濾胞および傍皮質過形成と多形性の形質細胞増加を認めた HHV8は陰性 ⇒以上より反応性リンパ節腫脹の所見

体重は徐々に減少していった

 13ヶ月前にFDG-PET⇒腋窩、傍心臓、右内胸動脈付近のリンパ節に取り込み 肝臓と脾腫も取り込み増加

骨髄生検は反応性の細胞増加

肝臓の生検は門脈、傍門脈、小葉の炎症所見(形質細胞優位、たまに好酸球)、

胆管の増殖、限局性障害、リンパ球および散乱したアポトーシス性肝細胞
が見られ、類洞の線維化を認めた
⇒自己免疫性肝炎+限局性の硬化性胆管炎に矛盾しない

PSLを開始⇒中止  アザチオプリンも開始⇒倦怠感と腹痛は軽減

7ヶ月前にFDG-PET⇒脾腫、腋窩、右内胸動脈、後腹膜、腸骨および鼠径部のリンパ節腫脹。肺門リンパ節腫脹はなかった。気管支壁肥厚はあるが肺結節はない

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鼠径リンパ節腫脹⇒IgG4が陽性

4ヶ月前に改善しない咳、重度の疲労、体重減少、食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐、関節痛、びまん性の痛み、右ひざの腫れ、寝汗が出現

2ヶ月前に症状が悪化し両側の頭痛も出現

跛行もあり ドライアイ・ドライマウスなし

高血圧、貧血、左踵の痛みが継続。

2.5年前のツベルクリン反応は陰性

内服薬は、budesonide, azathioprine, omeprazole, metoclopramide,
and losartan

naproxenのアレルギーあり

he temperature was 35.1°C,the blood pressure 178/96 mm Hg, the pulse 114beats per minute, the respiratory rate 16 breaths
per minute, and the oxygen saturation 95% while
the patient was breathing ambient air.

The heightwas 165 cm, the weight 87.5 kg, BMI 32.1. 

 

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A:涙腺肥大 唾液腺も腫大

B:側頭動脈肥厚

C︰下腿の紫斑 palpable and nonpalpable

左下腹部痛有り 脾腫あり

左踵の痛みあり

右膝の滑膜肥厚

 

下記がL/D一覧

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○鑑別

GCA⇒側頭動脈の腫脹・頭痛からは疑う しかし皮疹や涙腺腫大など当てはまらない所見も多い

・サルコイドーシス⇒当てはまる所見は多いが、低補体血症などは認めないことが多く、そもそも生検で肉芽腫が証明されていない

・Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis⇒好酸球増多、咳、腹痛など当てはまることは多い。高ガンマグロブリン血症は非典型的で喘息や副鼻腔炎もない

・自己免疫性肝炎+Multicentric Castleman’s Disease⇒リンパ節生検の結果も矛盾しない。CRP高値、低補体血症も矛盾しない ただ他の多臓器の症状の説明ができない

・Clonal Immunoproliferative Disorders

リンパ腫も考えるが生検所見は合わない 形質細胞腫やmyelomaも考えるがmonoclonalな増殖ではない アミロイドーシスも一応念頭に

・シェーグレン症候群

キャッスルマン病にシェーグレンは合併しうる。涙腺・唾液腺の腫脹も合う。しかしドライアイやドライマウスがない

・クリオグロブリン血管炎

シェーグレンやリンパ腫に伴う血管炎は側頭動脈病変をきたしうる。皮疹や低補体血症もあっても良い。ただ、HIVHCVの感染はない

・IgG4関連疾患

組織学的にはキャッスルマン病との鑑別は難しいが最もありえる診断。ただ非典型的な症状もある。polyclonayなガンマグロブリン上昇、低補体血症、唾液腺・涙腺の腫脹、胆道病変、皮膚所見も説明できる。皮膚の浸潤、動脈・動脈周囲炎も説明できる。

関節炎と全身症状が強いことは矛盾する。

IgG4関連疾患でもIgG4が増加しないこともある

血清のIgG4が正常なのはprozone effectだろう

 

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側頭動脈生検⇒IgG4関連の血管炎に矛盾しない

 

 

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⇒皮疹の生検はIgG関連の中血管炎に矛盾しない

 

○診断

IgG4関連血管炎