片側性の仙腸関節炎
若年男性の片側性仙腸関節炎 鑑別は??
片側性なら普通は感染症を考える。
ただ、国内発症は極めて稀。
獣医の業界で話題になっている。
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM0903_03.pdf
ブルセラ症のsystematic review(というかこんなのあるのね。)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3516581/pdf/pntd.0001929.pdf
やはり、日本では極めて稀
ブルセラ症自体が多彩な症状をきたす。関節炎は必須ではない
ブルセラ性の関節炎のレビュー
症状としては発熱はほぼ認める。ただ腰痛は6割ほど。
筋肉痛や頭痛、食欲不振など全身症状も認める
診断にはELISAが有用 血培は長期間の培養が必要 感度は高くない
罹患関節は仙腸関節、膝、股関節で多い
では感染性仙腸関節患者で多い原因は?
感染性仙腸関節炎患者21人を解析した中国からの報告(原文は中国語。。)
男性が9人、女性が13人。
(85.7%)の患者は片側性の仙腸関節炎。
8人(38%)が結核性(TSI)
3人(14%)がブルセラ(BSI)
非ブルセラ・非結核性仙腸関節炎ではCRPやESRが著増したと。
6人のISI、2人のBSI、および4人のTSIを含む12人の患者が病理学的に診断された。
おそらく、化膿性の仙腸関節炎のことと思われる。。
化膿性仙腸関節炎の報告は、2007年の日本からの報告によると化膿性仙腸関節炎 は 145例(小児 81例)の文献報告がされており、稀な疾患。
http://www.jspid.jp/journal/full/01902/019020175.pdf
さらに多彩な症状をきたしうるため、診断が難しいと。
感染経路は、皮膚・血流感染・打撲などの外傷があげられる。
腹膜刺激徴候を有する強い腹痛を伴うこともある。
起因菌としてはブドウ球菌が最多。
Pregnancy-Associated Pyogenic Sacroiliitis: Case Report and Review
妊娠関連の化膿性仙腸関節炎レビュー。
平均年齢は25.4歳。
妊娠とや産褥、流産後との関連がある。
リスク因子として、injection drug、感染性心内膜炎、尿路感染、子宮内膜炎など。
●臨床的な特徴
大部分の症例(66.7%)は、急性発症(<7日間)
潜伏期間は、2〜32日。
局所の痛み:100%
仙腸関節の圧痛:80%
歩行困難:47%
33.3%で発熱がなかった。
なお、血培の陽性率は40%、関節液の培養陽性率は75%とされている。
診断にはMRIが有用
仙腸関節の炎症が仙骨や腸腰筋など周囲の組織へ波及しうるため、多彩な症状を呈すると考えられている。
なお、化膿性仙腸関節炎は30歳未満が全体の80%を占める。
これは仙腸関節の可動性および血管新生が同年代でピークだからであると考えられている。
下記の報告のように坐骨神経痛と誤診されることもある。
Postpartum septic sacroiliitis misdiagnosed as sciatic neuropathy. - PubMed - NCBI
60歳以上は全体の3%のみという報告もある。
http://www.semarthritisrheumatism.com/article/S0049-0172(96)80010-2/abstract
ということで。。。
片側性仙腸関節炎をみたら、感染症を考える。
化膿性と結核、ブルセラを考えるが、ブルセラは少ない。
化膿性仙腸関節炎は若年者に多く、坐骨神経痛と誤診されうる。