GIMブログ(あくえりの暢気にジェネラル)

JCHO東京城東病院総合診療科の森川暢によるブログです。総合内科と家庭医療が融合した、病院総合医の理想像を追い求めています。夢は、理想的な病院総合医のシステムの確立と普及です!今日の時代におけるGIMは、診断学や内科マネージメントに加えて、家庭医療学を専門にする必要があると考えています。このブログでは徒然なるままに思うところを書いていきます。

ACE-I or ARB 内服後の血清Cr上昇について

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Serum creatinine elevation after renin-angiotensin system blockade and long term cardiorenal risks: cohort study | The BMJ

 

ACE-I or ARB開始後の血清Cr上昇についての心腎アウトカムについて調べた論文

population based cohort study

イギリスのプライマリ・ケアのデータを使用

 

患者:  ARB or ACE-Iを開始した患者

アウトカム:血清Crが30%上昇した患者における末期腎疾患、心筋梗塞心不全、死亡率。

 

122363人のうち2078人(1.7%)で血清Crが30%以上に増加。

特に高齢者、心腎の合併症、NSAIDS使用、ループ利尿薬、K保持性利尿薬の使用でその傾向があるf:id:aquariusmedgim:20170418060415p:plain

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Crの30%以上の上昇した群におけるリスク比

末期腎疾患:3.43

心筋梗塞:1.46

心不全:1.37

死亡:1.87

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Crがの上昇にしたがい死亡率が上昇している

 

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他のoutcomeもCr上昇に従い増加傾向

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特にCKDやHTがある際は末期腎疾患の発生に注意

 

◯結論

ARB or ACE-I開始後のCr上昇は心・腎の不良なアウトカムと関係している。

特にCrが30%以上増加した場合はその傾向が顕著。

 

◯感想

確かに外来でACE-I ,ARBを導入する際はCr上昇には気を使っているが、それは妥当なんだという感想。

個人的な印象ではACE-IでCr上昇が多い気もするけど、その比較は不明。。

いずれにせよ、ACE-I,ARB導入後は採血フォローをするのは妥当だと思われる。

Cr上昇を認めれば変更 or 中止を検討しても良い。